前中期経営計画の成果と課題を踏まえ、当社グループは2019年4月、2020年3月期から2024年3月期までの5年間を対象とする新中期経営計画を始動させました。自動車業界は電動化や自動運転など次世代のCASE※関連技術の導入などにより、部品メーカーを含め大きな変革期に直面しています。また、世界経済は米中貿易問題や新興国の景気・政治リスクが継続し、国内経済は今後の労働人口の減少や社会保障制度問題などを抱えていることから、将来の事業環境や需要動向を見通すことが難しい状況です。このような事業環境の変化が著しい時代を生き抜いていくために、本中計では、「【質】重視の経営」を目指し、「強靱な経営体質・経営基盤の構築」「商品力向上・競争力強化」を骨子の2本柱としました。2つの骨子にしっかりと取り組むことでコア商品の商権維持拡大を図るとともに、新規事業にも積極的に挑戦してまいります。これらを着実に遂行することにより持続可能な企業グループを創造し、産業と社会の発展に貢献していきたいと考えています。なお、経営目標値については、営業利益率7.0%、ROE(自己資本利益率)7.0%、総還元性向35%以上としました。
※Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電気自動車)
強靭な経営体質・経営基盤の構築
まず、ものづくりの基本である安全・品質・設備保全や技能伝承を狙いとした「ものづくり意識改革活動」を継続し、企業文化として定着を図ります。また、働き方改革や労働人口減少に対応した組織や生産体制の最適化と多様な人材の活用、国内外事業の管理力向上、グループ内横断管理による合理化などにより、環境変化にも耐えうる強靭な経営体質・経営基盤を構築してまいります。
商品力向上・競争力強化
次世代モデルにおいて、当社コア商品に求められる機能・構造を実現するべく、自動車部品では軽量化・高強度・多機能化など、建設機械用キャビンでは視界性・新機能・軽量化などにより商品力を向上してまいります。また、グローバル市場における競争力強化に向け、製造ライン再編・自動化・IoT活用等による生産性向上や、調達力強化に取り組んでまいります。
コア商品の商権維持拡大・新規事業
グローバル競争の熾烈化に加え、自動車メーカーの再編や顧客の調達方針変更など厳しい事業環境に晒されておりますが、強靭な経営体質と商品力・競争力を武器に、コア商品の国内外での商権維持拡大を図ってまいります。コア商品重点地域である日本・アセアン・中国を中心に持続的成長を図りつつ、北米事業再編と欧州事業拡大にも取り組んでまいります。また、独自技術の応用展開として新規事業にも積極的に挑戦してまいります。
自動車部品
- 次期モデルチェンジに向け、既存商権維持・周辺部品の取り込み
- 労働市場減少に対応した商品拡販
- アセアン: タイ・インドネシア拠点からの供給を軸にビジネス拡大へ
- 米国: ビジネスポートフォリオの見直しと事業再編
- 欧州: 欧州トラックメーカーへの窓口としてグローバル展開案件へアプローチ
- 大~小型油圧ショベル用キャビンの事業拡大
- 単独・協和・中国連携による顧客層の拡充 - 部品・ユニットビジネスの取り込み
- 油圧ショベル以外の建機用キャビンへの拡大
- 農機・産機用キャビンへの拡大
建設機械用キャビン
- コア技術応用展開による事業発掘(新商品)
- 新拠点の継続検討(インド市場の継続的調査・検討)
- 地震シェルターの拡販推進
新規事業への積極的挑戦
経営目標値
事業環境の不透明な見通しやグローバル競争が激化するなかで、
【質】重視の経営を目指し、以下の経営目標値に向けて取り組む。